イベント概要

国家戦略道路占用事業の区域として認定された新宿副都心中央通りを中心に、道路、公開空地、公園を一体的に活用する社会実験『Shinjuku Share Lounge 2017』を実施。
2015年の実施以来3回目となる本年度の主な取り組みは、”1. ラウンジ空間の定着に向けた常設ラウンジの展開“、”2. 地域イベント等との連携の拡大”を中心とする企画を実施。取り組みの効果及び今後の展開に向けた課題の検証を行った。

名  称: 新宿副都心エリア公共空間利活用 Shinjuku Share Lounge 2017
実施日程: 2017年9月25日(月)〜10月31日(火) 計37日間
実施場所: 西新宿エリア (街路、ビル広場等)
主  催: Shinjuku Share Lounge 2017 実行委員会、一般社団法人 新宿副都心エリア環境改善委員会
後  援: 新宿区
メディア掲載: 日本経済新聞
主な視察来訪者: 新宿区長(10/14)

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社会実験の目的

  • テーマ I
    ・ラウンジ空間の定着に向けた、常設ラウンジの効果の把握と実施体制の検証

    ①常設ラウンジの利用ニーズの把握
    1ヶ月超の期間にわたり公共空間にテーブル、ベンチ等の什器を継続設置
    キッチンカーの展開は昨年度までより縮小し、カフェカーを長期間継続して出店することで、飲料中心のサービスを提供

    ②常設ラウンジの実施体制の検証
    各ビル管理会社との連携による効率的なラウンジ運営の試行

  • テーマ II
    ・地域イベント等との連携拡大による山場の盛り上げの強化

    ①地域イベントとの連携
    『新宿クリエイターズ・フェスタ2017』、『Screen@Shinjuku Central Park 2017』、『ONE ASIA Orchestra』等、
    新宿区関連イベントとの連携を拡大

    ②各ビルイベントとの連携
    会員企業各ビル主催の連携イベントとの連携を継続、ホームページにおけるPR施策の強化

社会実験の内容

テーマ I:常設ラウンジの展開

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1. 常設ラウンジの利用ニーズの把握
  • 常設ラウンジでは、休憩を中心に読書、仕事などさまざまなアクティビティが見られた。
2. 多様な利用者を受け入れる人にやさしい街の実現
  • ビジネスマンのほか、周辺地域の居住者、親子連れ、外国人などの利用が見られた。
3. サービスの提供
  • カフェカーおよび沿道ビルテナントによる出店

テーマ II:地域イベントとの連携

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1. 新宿区関連イベント
  • これまで開催されてきた新宿区のアートイベントとの連携に加え、新宿中央公園での映画上映、音楽会等が開催され、連携イベントの幅が広がった。
2. 各ビル連携イベント
  • 各ビルの公開空地・ロビー等でビル主催イベントが展開された。

その他の取り組み:屋外広告物・PR関連

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1. 屋外広告物の設置
  • 特例許可の取得(都・屋外広告物条例)による道路空間への広告物設置と公益還元
2. ホームページの充実
  • CMS機能導入によるイベントPR連携
3. 道路維持管理協力
  • 清掃・巡回、違法駐輪巡回等を、所管部署と連携して実施。

地域との連携


©2017 TOHO CO.,LTD

  • 新宿クリエイターズ・フェスタ実行委員会、新宿区主催の『新宿クリエイターズ・フェスタ2017』の一環で、新宿住友ビルにて、「新宿観光特使 GODZILLA」の巨大ラッピングを実施。
  • 一般社団法人新宿観光振興協会等が主催する『新宿まちフェス2017』、『新宿 ONE ASIA 文化祭』、『Screen@Shinjuku Central Park』とPRの連帯を実施。

調査内容

  • 公共空間の滞留実態調査:設置什器の利用状況カウントによるアクティビティ誘発効果の把握
  • 利用者アンケートによる効果測定:満足度や利用の動機等、主観的評価の把握によるニーズの検討

評  価

  • 常設ラウンジの利用の分析
    • 期間中、約12,500人がラウンジ空間を利用。昨年度までと比較すると、什器設置数を削減したものの設置期間を延長したことから、ほぼ同程度の利用者数となった。また、各什器の1時間当たりの利用者数も昨年度と同様0.4人/席・時程度であったが、利用時間帯は分散した。
    • 利用の動機としては、昨年までと同様、屋外空間としての快適性、テーブル等の利便性を評価する声が多かった一方、賑わい、キッチンカーメニュ―などのイベントによって誘引された利用者の比率は減少した。利用目的は、食事の割合が昨年度より少なくなり、休憩が最多となった。読書、仕事などの利用者の割合も増加した。
    • 飲食の提供を中心とした昨年までのラウンジ空間とは異なるコンセプトで社会実験を実施したことで、休憩、読書、仕事など、他のアクティビティへも幅を広げることができた。
  • 管理・運営に関する考察
    • 長期間にわたり什器を設置したが、それによる交通阻害、通行者とのトラブル、不適切な利用はみられなかった。
    • 設置什器の日常的な出し入れ、道路占用料等の形で運営・実施費用が定常的に発生する。今後、ラウンジを継続的に設置する場合には、収益源の確保、管理・運営の合理化、官民の適切な役割分担による運営体制の構築が必要である。
  • 地域イベントの連携拡大への取り組み成果
    • 新宿区関連イベントの開催数が増加するなど、地域連携の成果が蓄積されている。
    • 各ビルを含むエリアの一体的な盛り上げをさらに強めるためには、山場期間の設定の柔軟化、早い段階での統一テーマの設定などを検討する必要がある。

今後の検討事項

  • 公共空間におけるラウンジは多くの利用者があり、大きなポテンシャルを有している。3ヶ年の取り組み結果を踏まえ、ラウンジに求められる役割・機能と実現手法を検討する必要がある。
  • 道路上は高齢者、外国人、親子連れなどの利用が多く、ダイバーシティーの向上に寄与する。これらの公共的な機能を道路空間に展開するためには、道路維持管理スキームと合わせて 官民の適切な連携方策を検討する必要がある。
  • 公共空間における人の滞留をワーカー間の交流促進や来訪者への情報発信による産業創発へとつなげるためには、更なるソフト面での取り組みを展開する必要がある。