社会実験概要
国家戦略道路占用事業の区域として認定された新宿副都心4号街路を中心に、周辺の道路、公開空地、公園を一体的に利活用し、賑わいや新たなアクティビティを生み出すため、滞在性及び回遊性を向上させる取組みを企画。昨年度に続き社会実験「FUN MORE TIME SHINJUKU2024」を実施した。
2023年3月に東京都・新宿区が策定した「西新宿地区再整備方針」が示すまちの将来イメージを、イベントを通じて仮想的に再現するため、①ビル内での活動を官民オープンスペースで実施 ②滞在性の向上 ③回遊性の向上 の取組みを実施。ほかに利用実態の調査を行い、その効果を検証した。
名 称: | FUN MORE TIME SHINJUKU 2024 ~街が沸くわく 西新宿へGO! |
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実施日程: | 2024年10月18日(金)〜10月20日(日)、計3日間 |
実施場所: | 4号街路、11号街路下、都民広場、新宿中央公園ファンモアタイムひろば (なお、4号街路及び12号街路の交通規制を都市整備局が実施) |
主 催: | ファンモアタイム新宿実行委員会、一般社団法人 新宿副都心エリア環境改善委員会 |
共 催: | 東京都、新宿区 |
協 賛: | 住友不動産、大成建設、東京建物、野村不動産、工学院大学、東京ガス、京王電鉄、都市再生機構 損害保険ジャパン |
メディア掲載: | テレビ東京、日本経済新聞社、新宿区報、大新宿区まつりパンフ、新宿フィールドミュージアムパンフ、 関係各団体HP、他 |
来場者数: | 約6万人 |
社会実験の内容
ビル内での活動を官民オープンスペースで実施
1.学生プロジェクトブース

- 19日、20日、京王プラザホテル前にて、工学院大学によるソーラーカー、フォーミュラカーの展示、子ども向けの科学実験やロボットのワークショップを実施。
2.身近な健康に関する情報の提供

- 楽しく元気の出る肩こり・腰痛対策や、糖尿病の予防、子どもの事故予防(誤飲など)等、東京医科大学病院医療スタッフによる身近な健康情報を提供。
3.ホテルレストランブース

- ハイアットリージェンシー東京が、洋食・中華・デザートなどを4号街路に面した自敷地において販売。
- エリア内のホテルの参画は、初めての取り組み。
4.移動式空間(総合受付)

- 大成建設による移動式空間「モバイルインフィル」が、総合受付として来場者をお出迎え。
- 西新宿地区再整備方針の概要も展示し、来場者へPR。
滞在性の向上
1.ウォーカブルなまちづくり展示及び シェアラウンジ

- 建材大手商社のユアサ商事㈱による、パーゴラやパラソル、プランターベンチなどの設置。多くの人々が食事や仕事など思い思いに過ごし、好評価であった。
2.キッチンカー

- 18日は4台、19、20日はからあげマーケットとして8台、住友ビル前の車道に出店。ファンモアタイムひろばには野村ビルテナントのキッチンカーが2台出店。
3.防災を楽しく学ぶイベント

- 都内に1台しかない臨場感あふれる「VR BOSAI」とまちかど防災訓練車による防災訓練とミニ防火衣体験。
- 防災スポーツR体験にも、多くの人々が参加。
回遊性の向上
1.パーソナルモビリティ・自動運転車の体験乗車

- パーソナルモビリティは、移動をより円滑にする歩行者支援モビリティとして、多くの人が体験乗車。
- 自動運転車は新宿駅から中央公園までを2日間走行。
2.新宿駅から4号街路トンネル部の告知

- 新宿駅東西自由通路新宿ウォール456(行政枠)で告知。
- 4号街路トンネル部の柱に北側南側ともに30枚を1本おきで連続してポスターを掲示。
3.超高層ビル飲食店マップの作成・配布

- エリア内の回遊性を高めるため、飲食店マップを作成。総合受付のほか、スマートシティフェスタの受付において来場者に配布。
東京都主催の各イベントとの連携
滞在空間の創出(都市整備局)
- 都庁周辺の空間再編計画(2024年3月策定)に基づく、滞在空間の創出。
- 都民広場に人工芝を敷設。テーブル・椅子、クッションにより居心地の良い空間を演出。
スマートシティフェスタ(デジタルサービス局)
- スマートサービスの体験を通じて西新宿の取組みを体感する場。
- 11号街路下、中央公園ファンモアタイムひろば(水の広場)、都民広場で面的に実施。
調査内容:利用者アンケート調査
国土交通省「まちなかの居心地の良さを測る指標」による「寛容性」「期待感」「安らぎ感」「安心感」の評価項目に基づいて実施(上野計画事務所に委託)
回答総数:10月18日(金、平日)246件、10月20日(日、休日)300件 合計546件
属性 :男性284人、女性259人、無回答他3人
来場動機:平日「たまたま立ち寄る」44%、休日「イベントへの興味」36%
滞在時間:平日「1時間未満」51%、休日「1時間~2時間」24%、「1時間程度」25%
昨年との比較
- 平日はイベント自体に関心があり、目的を持って来場している人の割合が昨年より増えている。
- 休日は新宿に用事がありその流れで立ち寄った人の割合が昨年より増加しており、回遊性が高まっていると考えられる。
- 平日、休日ともに、昨年より滞在時間が長くなっている。
評 価
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寛容性
ウォーカブルなまちづくり展示・キッチンカー(住友ビル前、都民広場前)
平日
「きれいで気持ちよく過ごせる場所」「気軽に出入りできる場所」という感想が多かった。
⇒ 歩道上に机椅子等の配置を行い、オフィスワーカーの滞在(短時間利用)を促進する仕掛けづくりへの需要は高いと考える。
休日
「子供が声を出して遊べる場所」「思い思いの時間を過ごせる場所」という感想が多かった。
⇒ 多様な来訪者が長く滞在できる仕掛けづくりの需要は高いと考える。また、物販飲食系(キッチンカー等)の需要も見込まれるものと考える。
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期待感
キッチンカー・受付(モバイルインフィル)(住友ビル前、三井ビル前)
平日
「複数人で飲食をしたい場所」「人が集まり面白そう、雰囲気がいい場所」という感想が多かった。
⇒ 飲食に対して期待感が高く、気軽に飲食できる仕掛けづくりが必要であると考える。展示系について、面白そう・雰囲気が良いという期待感が寄せられていることから、非日常的な展示の需要は見込まれていると考える。
休日
「人が集まり面白そう、雰囲気がいい場所」「子供や大人が楽しく遊べる場所」という感想が多かった。
⇒ 面白そう・雰囲気が良いという意見や、魅力的なコンテンツがあり子どもや大人が楽しく遊べる場所という意見が平日より多いことから、休日に公共空間を活用してのイベントは需要が高いと考える。
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安らぎ感
シェアラウンジ・居心地いいな空間(ハイアット前、都民広場内)
平日
「休憩したり、くつろいだりしたい場所」という感想が多かった。
⇒ 座ってくつろぐ場所への期待値が高いため、超高層ビル街区の足元空間に対し、静かに過ごす公園のような使われ方が求められていると考える。
休日
「休憩したり、くつろいだりしたい場所」「陽だまり、日陰で過ごしたい場所」という感想が多かった。
⇒ 平日に近似した意向であり、陽だまり・日陰で過ごしたいという意見が平日より多いため、やすらぎ感のある空間整備することで、街なかへ一定の賑わいを見込むことが期待できる。
今後の検討事項
①西新宿地区再整備ガイドライン(案)の【地区全体の取組】に対する評価を確認。
②今後もパイロットプロジェクトや社会実験を継続し、再整備方針の実現を目指す。